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最高裁判所第二小法廷 昭和47年(オ)451号 判決 1974年8月06日

上告人 鳥取漁網株式会社

被上告人 国

主文

本件上告を棄却とする。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由節一について。

国税徴収法五〇条一項の規定に照らし、同法八二条に基づく交付要求に際し同条三項によつて準用される同法五五条所定の通知を必要とする第三者には、民法三一一条六号所定の動産売買による先取特権者は含まれないとした原審の判断は正当である。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

同第二点について。

所論の差押えの効力が本件配当の結果に影響を及ぼすものとはいえず、また上告人が本件国家賠償請求について主張する損害と右差押えとの間には因果関係がないことが明らかである。論旨は、原判決の結論に影響を及ぼさない部分を論難するに帰し、採用することができない。

同第三点について。

論旨は、本件交付要求は国税徴収法八三条に違反する無効なものであると主張するが、同条の文言及び同条によりいつたん交付要求がされた場合であつてもこれとほぼ同一の要件のもとに同法八五条によつて容易にその解除請求ができることとなつている趣旨に照らせば、同法八三条は訓示的規定であると解せられ、したがつて同条違反の有無は交付要求の効力を左右するものとはいえない。また、原審が適法に確定した事実関係のもとにおいては、本件交付要求が同条に違反し、その結果上告人が配当を受けることができなくなつたとしても、国家賠償法一条にいう違法に損害を加えられた場合にはあたらないと解するのが相当である。それゆえ、論旨は、原判決の結果に影響を及ぼさない部分を論難するに帰し、採用することができない。

同第四点について。

原審の適法に確定した事実関係のもとにおいては、所論の点に関する原審の判断は正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は採用することができない。

同第五点について。

国税徴収法八五条による交付要求解除請求は交付要求ができる終期までにされなければならず、動産の強制競売手続においては、右終期は競売期日の終了時までと解するのが相当であとるころ、本件動産の競売期日が終了したのは昭和三九年七月三一日であること、交付要求解除請求がその後になされたことは、いずれも原審の適法に確定するところである。したがつて本件交付要求解除請求を棄却した行政庁の処分に違法はなく、これと結論を同じくする原審の判断は正当であり、原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判官 岡原昌男 小川信雄 大塚喜一郎 吉田豊)

上告理由書<省略>

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